甲状腺濾胞がん 治療ブログ

甲状腺濾胞がんになりました。治療について記録していきます

入院7日目

いよいよ首のドレーンが外せることになった。

処置室へ行って、先生にチョンと切ってもらう。首元なので何をどうされているのか見えなくて不安だった。少し痛かったけどすぐに終わった。明日くらいまで絆創膏を貼っておけばいいらしい。人の回復力ってすごい。

ドレーンを外した後、手術の傷のテープの貼り方を教えてもらう。初めて傷跡を見る。若干痛々しいけど思っていた程ではない。

 

久しぶりに体から管が全部外れてとても楽になった。痛みはなくてもやはり首元から管が出ていると着替えるにしても寝返りをうつにしても気を遣うし、とても邪魔だった。シャワーを浴びる時にもなるべく濡らさないようにと注意しなくてもいい。

普段当たり前のことがこんなに有難いなんて、なくして初めて気づくものだ。

 

ドレーンも外れて明日退院できることになった。

 

最後の夕食はカレーライスという名の薄い薄いカレー味のスープだったけど、初めてご飯を完食できた。

入院4~6日目

体調は日に日に回復している。

手術翌々日にはシャワーも可能で、首をぬらさなければ頭も洗えた。

首からドレーンがぶらさがっているのでかなり気を使ったけど、本当にさっぱりして生きてるという感じがした。

ドライシャンプーを持ってきていたが、結局一回も使うことはなかった。

 

一日に3回看護師さんが体温、血圧、酸素量を測りに来て、1回先生が傷口の様子を確認しに来る。

その他はただ寝て起きてご飯を食べての繰り返し。

普段は仕事に家事に忙しくしているので、「こんなに何もしなくていいの?」と不安になってしまう。もちろん術後で体が弱っているから大して動けないんだけど。

友達に手紙を書いたり、ダウンロードしておいた映画をスマホで見たり、持ってきた本を読んだり、のんびり過ごした。

 

あとは手術翌日から恐々だけど首のストレッチを始めた。

これをきちんとしないと首のこわばりや違和感、肩こりなどがひどくなるそうだ。でも左側にはうまく倒せない。徐々にやっていこう。

 

一日中ほぼベッドの上にいるので、少しは体を動かさなきゃと一階の売店に行く時には階段を使って降りた。帰りは2階まで上がったらヘロヘロになってしまい、エレベーターで戻った。その後アキレス腱からふくらはぎまですごく痛くなって、数日で筋力の衰えを感じた。

 

6日目にもう一度外来で、手術時に口内や歯に異常が起きなかったか確認してもらうため口腔外科へ。特に問題はなく、プロの手で磨いてもらって終了。まだ首を上に向けるのは辛いので、普通の歯科医院のいすの姿勢にはなれないんだけど、さすがにそういうことにも配慮してもらえた。

入院3日目【手術翌日】

朝になり、フットマッサージャーや酸素量測定器、導尿カテーテルなどいろいろ外してもらい、看護師さんに手伝ってもらいながら浴衣から甚平型パジャマに着替え、病棟の看護師さんが迎えに来てくれてICUを出る。自分でスムーズに車椅子に移ったので「おー、いい感じですね!」と言ってもらえて秘かに嬉しい。

 

病棟に戻った後は、トイレに行く度にナースコールで看護師さんを呼ばなければならない。

尿量チェックの後ベッドに戻り、お腹にゼリーを塗ってエコーで膀胱に残っていないか(ちゃんと排尿できているか)を確認してもらう。これがうまくいかないとまた導尿カテーテルをつけないといけないというので、変な言い方だけど念入りにトイレに行った。4回目のチェックの後合格が出て、自由にトイレに行けるようになった。

 

洗面所で鏡を見たらあごの下がすごく腫れてて「めっちゃブスじゃん!」とショックを受けた。手術後だからしょうがないけど、あまり人に見られたくないな。

 

お昼から5分粥と煮物などのおかずが出たけどあまり食べられなかった。

 

15時頃彼がお見舞いに来てくれた。

手術翌日にしては元気で、声も少し掠れているけど喋れるし、点滴引きながら歩いていたので驚いていた。

首からドレーンという血液や体液を排出する管が出ていて、その先にそれを溜めるポシェットがついているのだけど、思いっきり「血!」って感じで生々しいのが丸見えなので彼はそれを見るのが苦手なようだった。周りにもドレーンを下げている人が何人もいるから何とも思わなかったけど、確かに日常では見慣れない光景だ。

 

体を起こすのはまだできないのでベッドのリクライニング機能がとても役に立った。いろんな動作をするのに、いちいち首に負荷がかかっていることを実感する。特にくしゃみをすると傷口が開いてしまいそうな気がして怖かった。

 

夜ご飯のお粥は半分くらい食べられた。

入院2日目【手術日】

何回か目が覚めたけどおおむね良く眠れた。

窓際なのでまぶしくて、5:30頃起床。

 

6:00過ぎに看護師さんが来て、体温(35.5度しかなかった)・血圧・酸素量の測定。

こんなに朝早くから面倒を見てもらってありがたいことだ。

 

8:00に先生が来られるそうなので、手術用の浴衣に着替えて弾性ストッキングを穿いてT字帯を装着して待機する。先生が来て点滴を刺してもらうも一回目は失敗。私は血管が細くて、位置も深いところにあるらしく、点滴はいつもなかなか入らなくて腕があざだらけになるのだけど、今回は2回目で入った。でも肌の弾力が強いらしく点滴がうまく落ちない。テープを何度か貼り直して調節し、ようやく成功した。

 

昨日の21時から水を飲むのも禁止だったので喉が渇いて(水分は点滴で補給されているのだけど)何度もうがいをしに行った。

 

手術は13:00~の予定で両親も早めに到着。特に話すこともなく、気まずい感じだったせいか2人は食堂にお昼を食べに行った。戻ってきて少ししたらいよいよ手術室に移動。

 

ここで手術担当看護師さんにバトンタッチし、名前や生年月日、手術箇所の確認をして手術用の帽子をかぶる。手術台に上がり、バスタオルでうまいこと体を隠してくれながらすごい速さでてきぱきといろいろな器具を付けられる。指先に酸素量測定機器、足にフットマッサージャー、点滴が入っている方の手首に腕の固定器、腕に血圧測定機器、あとは何だったかな。裸になるからだと思うけど、たぶん麻酔がかかるまでは女性ばかりだった。おでこにマジックテープの凸面のような何だかチクチクするものを貼られたのだけどあれは何だったのだろう。不安にならないように皆さん笑顔で優しく声をかけてくれた。口元にマスクが付けられた途端まぶたが重くなって一瞬で意識がなくなった。

 

手術が終わり、ICUに移動したら母の「おーい」という声が聞こえた。ものすごい近眼なので母の顔は良く見えないけど、目を開けて「はーい」と返事をしたので安心したようだ。私は覚えていないけど「もう大丈夫だから帰っていいよ」と言ったらしい。

 

その後はずっとうつらうつらしながら看護師さんのお世話になった。ラジオつけますか?と聞かれたのでいつも会社でつけているTOKYO-FMをかけてもらった。

 

血圧や酸素量を度々チェックしてもらい、床ずれしないように何度も下に敷いたバスタオルを入れ替えてくれ、体を蒸しタオルで拭いてくれた。暑いのと頭痛がするのとで枕をアイスノンにしてもらった(後で寒くて外してもらった。体温調節がうまくできない感じ)。

 

意識が少しはっきりしてきた頃「歯を磨きますか?」と言ってもらって寝たまま歯磨きをした。これでものすごくすっきりした。吸い口で飲ませてもらった水はとてもおいしかった。

 

導尿カテーテルが入っているのでトイレには行きたくならない。途中で「お尻見ますねー」とチェックされ「大丈夫、きれいですねー」と言われる。日常だったら羞恥心を覚えるところだけど、こんな状態だと何とも思わない。麻酔の時に筋弛緩剤も入れるので(それで気管内挿管もスムーズにいくのでしょう)お尻が汚れてしまうこともあるのだと思う。

 

16:00頃に手術が終わって、翌日10:00過ぎに部屋に戻るまでとても長かったけど、吐き気もなく、痛みも思ったほどではなく、卵巣嚢腫の術後に比べたら全然楽だった。

入院初日【手術前日】

健康診断で甲状腺の腫れを見つけてもらってから3ヶ月。いよいよ入院日となった。

重い荷物を引きずり、汗だくで昼過ぎに病院に到着。

 

病室は5階の6人部屋で、空いていた窓際のベッドにしてもらえた。ついてる。

荷物を整理したりして、1時間くらいすると名札に初心者マークをつけた男性の看護師さんが来て、院内の説明を受け、検尿・採血・血圧と体温測定。体温計はその時すぐ返したのに、後で「体温計落ちていませんでしたか?」と探しにきた。

採血も後ろで先輩看護師が目を光らせてチェックしていて、手際も悪かったけど、そんなに痛くはなかった(でも採血後に器具を落っことしていた)。

お風呂の予約を19:30に入れたが、後で「お風呂何時にしますか?」とまた聞かれたりして「大丈夫かなぁ」と不安になった。

手術時に穿く弾性ストッキング(血栓ができないようにするもの)のサイズの確認のため足の太さを測られる。Sサイズでした。

 

その後外来で口腔外科へ。歯の具合が悪いと麻酔をかける時に折れたりしてしまうそうだ。少し乾燥しやすいと言われたけど、他は問題なし。手術前に、と思って行きつけの歯科で定期健診を受けておいたので良かった。

 

部屋に戻ると手術担当看護師さん、手術の担当の先生、麻酔科の先生の訪問があり、手術や麻酔に関する説明を受け承諾書にサインをし、明日切るラインをペンで首に書き入れられた。結構なサイズなので若かったらショックだったろうな。幸いもういい年なので、そこまで気にならない。

 

明日手術後に入る予定のICUの見学もさせてもらえた。

テレビはないけどCDラジカセはあるので好きなCDを持ってきてもらえればかけられますよとのことだったけどもちろん持ってきていない。

 

ICUはとても広くて何部屋もあって、表情をチェックするカメラもついていて圧倒された。明日はこんなに大げさというか大変なところに入るんだと思ったらにわかに緊張してきた。

 

ちょうど夕ご飯が運ばれてきたタイミングで一緒に暮らしている彼が自分のご飯持参でお見舞いに来てくれたので、患者食堂に移動して2人で食べた。

「顔がナーバスになってるよ」と言われたけど、そりゃ手術前日なんだからナーバスにもなるってもんだ。

 

19:30にシャワーを浴びて21:00に就寝。

いつも飲んでる眠剤を預けてあったので、それをもらってすぐに眠れた。

手術前検査

私の通っているクリニックは手術や入院施設がなく、提携している病院での入院生活になる。手術前の検査は入院する方の病院で受ける必要があり、仕事を休んで行ってきた。

 

問診、採血、血圧測定、X線レントゲン、心電図、検尿の後、耳たぶをかみそりでシュッと切ってどれくらいで血が止まるかの検査、肺活量チェックの後、入院案内窓口で看護師さんとお話をする。入院に関する諸事項を教えていただき、アレルギーや不安に思うことなど細かく聞き取りをしてくれる。ここでこの病院がとても好きになった。

以前卵巣嚢腫の手術を受けた時に麻酔が覚めて吐き気がひどかったことを伝えると、麻酔科の先生に伝達してなるべくそうならないようにしますから安心してくださいねと言ってくれた。

 

その後入院手続き窓口で事務的な説明を受けて、いよいよ入院日を待つばかりとなった。

セカンドオピニオンを受ける

手術する気満々で張り切っていた私に父から「いろいろ考えましたがお父さんは手術に反対です」というメールが届き、うんざりした気持ちになった。

 

父は結構面倒な人で、仕事も整体師をしているので体のことに口を出してくる。

「首なんて大切なところに簡単にメスを入れてはいけない」

「切った後が引き攣れて苦しんでいる人を大勢知っている」とうるさい。

 

最初から手術にいい顔はしていなかったけど、診断が出てから必ず週に一回は父に手当てをしてもらい、それでも腫瘍が小さくならなければ手術してもいいと言っていたのに、ギリギリになってから「やっぱり反対だ」と言い出す。

 

「頼むから他の病院でセカンドオピニオンを取ってほしい。そこでも手術を勧められたら諦める」と。父が認めてくれなくたって手術は受けるつもりだけど、後でもめるのも面倒なので上野にある甲状腺の病院に電話をして事情を話し、セカンドオピニオンを出してもらえることになった。主治医の先生にも相談した。

 

仕事を休んで上野の病院に行くも、やはり「このサイズだったら僕も手術をお勧めしますね」とのことでほっとした。

父はなぜだか「えー、ほんとにセカンドオピニオンもらいに行ったの?偉いじゃん。絶対行かないと思った」と感心し、ようやく認めてくれた。これで心置きなく手術を受けることができる。

 

心配してくれる親心はありがたいけど時には困るものである。